夏草冬濤
こんにちは。
目白バイオインプラントセンター・田中歯科クリニック
の田中宏和です。
読書が趣味の私はいつもこんなブックカバーを
愛用しています。
恵比寿にあるウエアハウスというアメカジショップで
6~7年前に購入したものです。
おそらくジーンズを作った余りの生地で作成されたと
思われますが、バックポケットまで付いていて
なかなか可愛らしくないですか? 笑
私はこれを自分のジーンズのバックポケットに入れて
(鞄を持つのはあまり好きではないのです・・・)
どこにでも持ち歩き、電車の中やラーメン屋さんでも
読んでおりますので、なかなかいい経年変化を
しています。。
もちろん最初は真っ紺の状態でした。。。
さて、本日の本題 「夏草冬濤」 井上靖 著 です。
私が今まで読んだ本の中でも一番多く読み返して
いると思います。
井上靖の自伝的三部作の第二作目です。
しかし三部作といっても第一や第三とは登場人物や設定が
微妙に違っていますので
ここから読み始めても大丈夫です。
思春期を迎えつつある少年が様々な経験をして
成長していく姿を描いた物語です。
ストーリーは・・・
中学3年生になった(当時は中学は5年制度)主人公の
洪作は父が軍医をしていた関係で家族と離れて
静岡県三島にある伯母の家に預けられています。
文学好きの先輩たちと交流したり同級生とケンカをしたり
甘酸っぱい初恋を経験したり。。
特別な何かが起こるわけではなく派手な展開もないの
ですが、アジのある読みやすい作品です。
時代背景は古いのですが、青春時代ならではのエピソード
や心の機微などは読んでいてわかるわかる!という感じです(^^♪
私が初めて読んだのが中学2年生の時で
この本で夏休みの読書感想文を書いたのですが、
こういった男の子特有の感情は男子にしかわからない
だろうと思っていたのですが、それを読んでくれた女の子が
「私もこの本が好きなの」と話しかけてくれ、話が
盛り上がったのをなぜだかすごく覚えていますね。。笑
今回、このブログを書くにあたってネットで
他の人はどんな感想を持ったのだろう?と調べて
みたのですが、文中の登場人物に当時の話を聞いた、という
サイトがあり、そこに・・・
洪作が二学期の始業式の朝に鞄を持って
みんなが待つ集合場所に向かったらみんな鞄を持って
いなくて仕方なく神社の木の洞に置いていくことになり
帰りにみたら無くなっていた・・・
(実際は中に入っていた弁当の匂いに野良犬が気づいて
引っ張りだした・・・のですが)
それから数日間、鞄も教科書もノートもすべて失くして
しまった洪作は授業が始まっても机の上に何もなしで
過ごす描写があるのですが。。
(教師に見とがめられないか読んでいてハラハラします)
実際はそんなエピソードはなかったはずだと
友人たちが口を揃えて言っているらしいです・・・
「井上はでっちあげるのが得意だったからな。。」
というセリフも。。笑
もちろん真相は井上靖が亡くなっているので藪の中ですが。
きっと、小説を面白くするために話を盛ったのでしょうが
実際にその友人たちの大いなる影響で
井上靖自身も文学に目覚めそして文学者になる志を固めた
わけですから
(これは生前のインタビューで本人が語っていました)
何度も読んでいるとそんな友人たちと井上靖自身の関係が
よりリアルに感じられて一段と面白く感じてしまうのは
私だけでしょうか? 笑