歯の神経は取るべきか?残すべきか?
こんにちは。
目白バイオインプラントセンター・
椎名町田中歯科クリニックの田中宏和です。
自分自身が交通事故に遭って、
高校生の頃から歯科治療を沢山受けて
矯正、埋伏抜歯、入れ歯、インプラントなど
さまざまな経験をした私はいつも
治療をする際に
「自分がもしこの患者さんの立場だったら
どうしてほしいだろうか?」
と考えて、治療方針を提案しています。
1人1人が歯科医院に求めているものは
違います。
「とにかくこの痛みだけを早急に無くしてほしい」方と
「将来的なことも踏まえて歯が長く持つように
してほしい」
とおっしゃる方では、やり方が変わってくるのも
当然です。
いろんなケースがありますが、
ここでは1本の歯が沁みて時々痛みがあるという
ケースをご紹介します。
レントゲンの赤い丸で囲った部分に
ほとんど神経に触りそうなまでの
大きなむし歯を確認できます。
この歯の神経を抜くべきか残すべきか・・・?
数年前にその奥の半埋伏していた親知らずを
抜歯したのですが、ずっとその手前との間に
食片が挟まっていたのでしょう。
そのむし歯が大きくなったと思われます。
最後臼歯の後ろ側・・・
これは歯科医にとっても器具が届かない
歯医者泣かせの部位なのです。
正面から正攻法でアプローチすれば、
神経を抜きことになりますが、
その方が歯医者としても楽だし、
変な話ですが、保険点数も高いのです。(-_-;)
しかし、なんとか神経を残してみましょう!
と提案し、大きなむし歯を削って
神経の入り口に膜を作る薬をひいて
セメント充填して、しばらく様子を
見てみました。
1か月ほどの間、何度か沁みたり疼痛が
ありましたが、それも徐々に回数が減っていき、
これなら大丈夫だろうとなったところで
神経をいじることなく最終的に
詰め物で対応することができました。
もちろん、すべての大きなむし歯のケースに
この方法が適応できるわけではありません。
むしろ様子を見ている間にやっぱり
どうしようもなく痛くなって
また改めて麻酔から抜髄(神経を抜くこと)
になるケースももちろんあります。
なので、この方法を選択する場合は、
患者さんの理解が必要になります。
それでもこの歯が神経を残すことができたのは、
この先数年、数十年を考えると非常に
メリットが大きいのです。
例えば、生きている木と枯れ木を連想して
みてください。
生きている木は、常に栄養分を補給し
代謝を行っていますから、
木の幹も瑞々しいですが、対して枯れ木は
幹も枝もボソボソっとしていて
折れやすいですよね。
神経を抜いた歯というのは、この枯れ木と
同じで、
どんなにきちんと治療してあっても
将来的に脆くなって破折したりする
可能性も大きくなるのです。
「できるだけ歯の神経は取らない」
を目標に私は日々の診療に取り組んでおります。(^^♪