坊っちゃん
こんにちは。
目白バイオインプラントセンター・田中歯科クリニック
の田中宏和です。
本日は有名な夏目漱石の「坊っちゃん」についてです。
これを読んだことのない方はまずいないでしょう。
なぜこれをまた読み返してみようと思ったかは
中学1年の息子との会話がきっかけでした。。
いつも彼の学校の話を聞いていると、友達はもちろん
先生にもあだ名をつけて喜んでいるようです。
私にも覚えがありますがその先生の前ではもちろん
○○先生!と呼びますが、生徒同士では当たり前のように
あだ名で呼んでいる先生がいましたよね? 笑
卒業して同窓会などで友達と会話しても当然あだ名で
そういえば本名はなんていう先生だっけ??
なんてこともしばしば・・・
こどもに対する手前、ちゃんと○○先生と
呼びなさい! と叱りますが全く聞き入れません。苦笑
男子校に通っているので先輩たちから伝統的に
受け継ぐケースも多いのでしょう。
先日、保護者面談で息子の学校を訪れたとき
廊下ですれ違った先生に会釈したのですが
(あ、この方が息子たちが「マリオ」と呼んでる先生だな)
とすぐ判りました。。笑
話を元に戻します・・・
学校における先生のあだ名というのがどのように
つけられるかの見本は夏目漱石の「坊っちゃん」の中に
鮮やかな形で出てきます。
挨拶をしたうちに教頭のなにがしというのがいた。
これは文学士だそうだ。
文学士といえば大学の卒業生だからえらい人なんだろう。
妙に女のような優しい声を出す人だった。
尤も驚いたのはこの暑いのにフランネルの襯衣(シャツ)
を着ている。
いくらか薄い地には相違なくっても暑いには極まってる。
文学士だけに御苦労千万な服装(なり)をしたもんだ。
しかもそれが赤シャツだから人を馬鹿にしている。
あとから聞いたらこの男は年がら年中赤シャツを
着るんだそうだ。
妙な病気があったもんだ。
当人の説明では赤は身体に薬になるから
衛生のためにわざわざ誂えるんだそうだが、
いらざる心配だ。
そんならついでに着物も袴も赤にすればいい。
それから英語の教師に古賀とか云う大変顔色の悪るい
男がいた。大概顔の蒼い人は痩せてるもんだが
この男は蒼くふくれている。
(中略)
それからおれと同じ数学の教師に堀田と云うのがいた。
これは逞しい毬栗(いがぐり)坊主で、叡山の悪僧と云う
べき面構えである。
人が叮嚀に辞令を見せたら見向きもせず、
やぁ君が新任の人か、ちと遊びに来給えアハハハと云った。
何がアハハハだ。
そんな礼儀を心得ぬ奴の所へ誰が遊びに行くものか。
おれはこの時からこの坊主に山嵐と云う渾名を
つけてやった。
(中略)
画学の教師は全く芸人風だ。
べらべらした透綾(すきや)の羽織を着て、扇子を
ぱちつかせて、御国はどちらでげす、え? 東京?
そりゃ嬉しい、御仲間が出来て・・・・・
私もこれで江戸っ子ですと云った。
こんなのが江戸っ子なら江戸には生まれたくないもんだ
と心中に考えた。
物語の舞台となる松山の中学に赴任した
「坊っちゃん」が同僚の教師たちに初めて紹介されて
抱いた感想です。
そして坊っちゃんは東京に残してきたばあやの清に
次のような手紙を書きます。
「今日学校へ行ってみんなにあだなをつけてやった。
校長は狸、教頭は赤シャツ、英語の教師はうらなり、
数学は山嵐、画学はのだいこ。
今に色々な事をかいてやる。さようなら」
いかがですか?
あだ名のつけ方の原形がほぼ出尽くしていますよね。
その体型、服装、容貌、クセ、雰囲気などなど。。
この坊っちゃんによる命名はきっと生徒が付けても
変わらないだろうと思えるところがありますよね。笑
息子と会話しながらそんなことを密かに考えながら
読み返すとまた面白かったですよ。
ところで我が息子、「坊っちゃん」を読んだことが
ないそうなので(!)試験も終わったことだし
早速読ませてみようと思います。