インプラント

勤務医時代の院長先生との思い出

こんにちは。

目白バイオインプラントセンター・

田中歯科クリニックの田中宏和です。

 

GWも明けて、しばらくはまとまったお休みも

取れませんけれど、頑張りましょう♪

 

歯科医になって31年目を迎えました。

先日、父との思い出を書きましたが、

今日は、歯科医となって1年目に

勤務させていただいた日本橋の医療法人社団・

一寿会のO院長先生との思い出について

書いてみようと思います。

7年間 そこでお世話になりました。

我々の頃は、国家試験の合格発表が

4月半ばだったので、3月の卒業式と謝恩会の

時は、まだ正式にはみんな歯科医ではなく、

まぁ、だいたい国家試験の結果は

自己採点で分かっていたのですが、

なんとなく落ち着かない気持ちで

卒業式と謝恩会に出席したのを

憶えております。

 

そういうわけで、初めて勤務先の

日本橋の歯科医院を訪れたのは、

平成5年の5月・・・

今からちょうど30年前になります。

高校の時に交通事故に遭い、

前歯を8本喪失し、入れ歯もインプラントも

経験した私は、先輩のツテを頼って

当時まだ珍しかったインプラントを

積極的に取り入れている歯科医院を

紹介してもらったのでした。

 

初めて院長室に通され、O院長先生と

対面した時は、温厚そうだけど

ずいぶん貫禄がある先生だなぁ・・・と

いう印象。。。

当時 O先生は43歳で私は卒業したての24歳。

ひよっこもひよっこです。(-_-;)

器械体操をしていたので逆立ちは得意でしたが、

逆立ちしても敵わない!と思いました・・(苦笑)

 

私たちの7~8年前に歯科医になった先生は

ポリクリ(臨床実習)と言って、学生時代に

大学付属病院で、実際の患者さんの治療を

行い、それぞれ入れ歯をいくつ、

詰め物や被せ物をいくつ、抜歯を何本

と云ったノルマを課せられていました。

厳密には、まだ歯科医のライセンスがない

歯科大生が患者さんの歯を削ったりするのは

法律に触れるのですが、昔は暗黙の了解で

通っていたようです。

今では考えられないですよね~

もちろんそれはそれで大変なことで、

普通は誰もライセンスを持たない人に

自分の歯をいじらせたくはないですよね。

だから我々の先輩方は、学生同士で

治療し合ったり、親や親戚に頼みこんだり、

キャバレーなどに行って、仲良くなった

女の子に土下座して?お願いしたり・・・と

なんとか症例数を作っていたようです。♪

 

私たちの頃はそれが無くなり、

ほとんど見学かアシスタントなど、

後は本当に簡単な処置や仮歯を作ったりなど

しか やったことがありませんでした。

なので、歯科医師のライセンスを取得したと

云っても、実際の患者さんの歯を削ったことも

無い状態で、歯科医院に就職したわけです。

まぁ、誰だって初めては初めてですからね。

 

話を元に戻して・・・

院長先生とお会いした時は圧倒されて

自分もいつかはO先生のような貫禄が

付くくらいに果たしてなれるのだろうか??

と考え込んでしまうほどでした。

そんな緊張している私にO先生は

「初めは見学を中心にウチの治療の仕方や

 いろんなものを勉強してもらいます。

 女性スタッフもたくさんいますが、

 先生はドクターなんだから堂々としていて

 ください!」と。

あとは、代診の先生が3人いました。

そのうちのお一人は開業の間近で、私の

入局後、2週間でお辞めになるという事でした。

もちろん入局したての私にその先生の代わりが務まる

わけもないので、1年間はじっくり私を

育てようとO院長先生はお考えのようでした。

 

それから数か月は今思い出しても

大変だし、思うように行かないことも多いし

苦難の連続でしたが、でも楽しかったです。♪

診療が終わってからも毎日 居残りをして

人工歯の模型を削ったり、仮歯を作る

練習をしていました。

休みの日にも講習会で勉強しました。

私の教育係を買って出てくださった

K先生は、私を叱りながらも少しずつ

いろんな事をやらせていただきましたし

入局しての1年間は歯科大学で学んだ6年間

よりもたくさん勉強して吸収できたし、

充実していたという実感です。(^^♪

 

2年目になると、今までの他の先生の

お手伝いではなく、「自分の患者さん」

を配当していただき、さらにやる気が出て

仕事がもっと楽しくなりました。

もちろん定期的に行われる医局会で

論理立ててきちんと説明をしてOKを

もらわなければいけませんけれども

自分の担当の患者さんの治療方針なども

自分で決めて良いことになりました。

 

インプラントが必要と思われる患者さんには

当時、O院長先生しかインプラント手術は

行っていなかったのですが、

肉屋さんで豚の顎骨をもらってきて

診療後に豚を相手に練習したりして、

自分でやらせてほしいとお願いしアピールしました。

今思えば、たかが2年目の歯科医に

よくインプラントをやらせてくれたなぁ・・・と

思います。。(^^♪

O院長先生の器や懐の大きさを感じますね・・・

「先生方が何か失敗したってそんなの

 僕がフォローしてあげるから

 思い切ってやりなさい!」

が、口癖でなんでもきちんと勉強して理屈があって

いればやらせていただきました。

本当に感謝しております。♪

思えば、卒後に何も分からない状態で

本当に良い先生に巡り合えました。。

(他の同級生と時々情報交換していましたが、

 私は恵まれていたなぁ・・・と思います)

今でも診療方針に迷うときは

(O先生だったらどうするかなぁ)

と考えながら診療しております。(^^♪

 

2年目に初めてインプラントをさせていただいた

患者さんのうちのお一人は今でも

当院に通ってくださっています。(^^♪

 

そして7年が経過し、私も自分の開業を

見据えて準備している中で、院長先生に

「田中先生、僕にインプラントしてくれない?」

と頼まれて下顎に5本のインプラント手術を

施術しました。

埋入してから3か月は寝かせて置く必要が

あったので、2次オペは田中歯科クリニックで

行いました。

入局した初日にあんなに大きく見えて、

憧れの上司であった院長先生に

7年後にインプラントをお願いされるなんて

思ってもいませんでした。

嬉しかったですね~(^^♪

 

しかしその後 O院長先生も52歳で亡くなり、

今では私もO先生の亡くなった年齢を

超えてしまいました。。

 

こんなブログを書いていると

O先生ともう一度一緒にお酒を飲みたいなぁ、

とつくづく思ってしまいます・・・😿

父と同様でもっともっと長くインプラントも

使って欲しかったです。。。

 

*5月9日(火) 小学校の春の歯科健診

 のため診療は午後3時からとさせていただきます。